観光大国日本・京都へ行こう~Vol.19「貴船神社」

コラム

京都「貴船神社」完全ガイド – 水の神が宿る京都の奥座敷と縁結びの聖地

京都府おすすめ観光スポット紹介シリーズ第19回目は、京都市街から北へ、山あいの涼やかな空気に包まれる「貴船神社」をお届けします。清らかな流れと深い森の中に佇む水の神を祀る総本宮であり、縁結びの聖地としても知られる、京都の奥座敷のパワースポットです。

貴船神社とは – 水の神を祀る全国総本宮

貴船神社(きふねじんじゃ)は、京都市街の喧騒を離れた貴船の山あいに位置する、水の神を祀る神社です。正式名称は「貴布禰総本宮 貴船神社」といい、全国に約500社ある水神を祀る神社の総本宮として、古くから篤い信仰を集めてきました。

「貴船」という地名は「気生根」「氣生根」とも書かれ、「気」が生じる根源の地という意味があるとされています。まさに、万物の命の源である水の力が満ちる聖地として、1300年以上の歴史を誇ります。

主な特徴

御祭神:高龗神(たかおかみのかみ)- 水を司る龍神
創建:天武天皇白鳳6年(677年)の社殿造替の記録が最古
ご利益:水運・縁結び・諸願成就
特徴:全国水神社の総本宮、絵馬発祥の地

貴船神社の歴史 – 水の神と都を守る信仰

神話と創建

貴船神社の創建は、社伝によると神武天皇の母・玉依姫命が黄色い船に乗って淀川、鴨川を遡り、貴船川の源流に至って水神を祀ったことに始まるとされています。この伝説から「黄船」が転じて「貴船」になったという説があります。

確実な記録としては、天武天皇白鳳6年(677年)の社殿造替の記録が最古のもので、少なくとも1300年以上の歴史を持つ古社です。

平安時代 – 都の水源を守る神社

平安京遷都(794年)後、貴船川は鴨川の水源の一つとして、都の水を守る重要な役割を果たしました。朝廷からも篤く崇敬され、延喜式神名帳には「貴布禰神社」として記載され、名神大社に列せられました。

干ばつや長雨の際には、天皇の勅使が派遣され、雨乞いや雨止みの祈願が行われました。特に雨乞いの神事では「黒馬」を、雨止みの神事では「白馬」または「赤馬」を奉納したことが『日本書紀』などに記録されています。

絵馬発祥の地

この生きた馬を奉納する習慣が、やがて馬の絵を描いた板「絵馬」を奉納する習慣へと変化しました。そのため、貴船神社は「絵馬発祥の地」としても知られています。

縁結びの神社として

平安時代中期、歌人・和泉式部が夫との復縁を願って貴船神社に参詣し、見事に願いが叶ったという伝説があります。この逸話から、貴船神社は縁結びの神社としても広く信仰されるようになりました。

三社詣り – 本宮・奥宮・結社を巡る

貴船神社は、本宮(ほんぐう)、奥宮(おくみや)、中宮である結社(ゆいのやしろ)の三社から成り立っています。正式な参拝順序は、本宮→奥宮→結社の順とされています。

1. 本宮 – 灯籠の参道が美しい

貴船神社の中心となる本宮は、朱色の社殿が美しく、水占みくじや絵馬発祥の地として知られています。

石段参道と春日灯籠

本宮へと続く石段の両脇には、春日灯籠が整然と並び、貴船神社を代表する絶景スポットとなっています。昼は木漏れ日が美しく、夕方から夜は灯りが点ることで一気に幻想的な雰囲気に包まれます。

この参道は、京都でも指折りのフォトジェニックな場所として、多くの観光客や写真愛好家に愛されています。特に雪の日や紅葉の季節には、息をのむような美しさを見せます。

水占みくじ

本宮で人気なのが「水占みくじ」です。一見何も書いていない白い紙のおみくじを、境内の水に浮かべると文字が浮かび上がるという不思議なおみくじです。水の神を祀る貴船神社ならではの授与品として人気を集めています。

御神水

本殿の左手には「御神水」が湧き出ており、参拝者は自由に汲むことができます。この水は貴船山から湧き出る清らかな水で、水の神の恵みとして古くから大切にされてきました。

2. 奥宮 – 貴船神社発祥の地

本宮から徒歩約15分、貴船川沿いの道を奥へ進むと、奥宮に到着します。こちらが貴船神社の元々の鎮座地で、より神聖な雰囲気が漂います。

本殿の下には龍穴

奥宮の本殿の下には「龍穴」と呼ばれる大きな穴があり、ここから水が湧き出ていると伝えられています。この穴は日本三大龍穴の一つとされ、非常に強いパワースポットとして知られています。

また、奥宮の本殿は、その下に何があるか見てはならないとされており、神秘性を保っています。

連理の杉

境内には樹齢1,000年を超えるとされる「連理の杉」があります。2本の杉が途中から1本になっているこの神木は、夫婦や恋人の縁を深めるご利益があるとされています。

3. 結社(中宮)- 縁結びの聖地

奥宮から本宮へ戻る途中にあるのが、縁結びの神様として有名な結社です。御祭神は磐長姫命(いわながひめのみこと)で、縁結びのご利益で知られています。

和泉式部の伝説

平安時代、歌人・和泉式部が夫である藤原保昌との復縁を願って参詣したところ、見事に願いが叶ったという伝説があります。以来、縁結びの神社として多くの人々の信仰を集めています。

結社には「結び文」という特別な形式の絵馬があり、良縁を願う多くの人々が奉納しています。

季節ごとの魅力

春(3月〜5月)- 新緑の清々しさ

山あいの貴船は、春になると新緑が美しく芽吹きます。貴船川のせせらぎと新緑の中を歩く参道は、心が洗われるような清々しさです。桜の季節は市街地より遅く、4月中旬頃が見頃となります。

夏(6月〜8月)- 川床と七夕ライトアップ

貴船の夏といえば「川床」が有名です。貴船川の上に設けられた床で食事を楽しむ川床料理は、京都の夏の風物詩です。市街地より10度ほど気温が低く、涼を求める人々で賑わいます。

七夕笹飾りライトアップ

7月1日から8月15日頃まで、「京の七夕」に連動した夜間特別拝観が行われます。笹飾りと社殿がライトアップされ、幻想的な雰囲気の中で七夕の願いを込めることができます。

開催期間:7月1日〜8月15日頃
ライトアップ時間:日没〜20:00頃
短冊:1枚100円

秋(9月〜11月)- 紅葉の絶景

貴船の紅葉は、京都市街地より一足早く、11月上旬から色づき始めます。石段参道の灯籠と紅葉のコントラストは息をのむ美しさで、特に夜間のライトアップ「貴船もみじ灯篭」は必見です。

紅葉ライトアップ:11月上旬〜下旬
時間:日没〜20:30頃

冬(12月〜2月)- 雪景色の幻想美

雪が降ると、貴船神社は水墨画のような静寂な美しさに包まれます。特に「雪の日限定ライトアップ」は、積雪が一定以上になった日のみ開催される特別なイベントで、幻想的な雪景色を楽しめます。

積雪日限定ライトアップ:1月〜2月の積雪日
時間:日没〜20:00頃 (※当日の朝に公式SNSで告知)

拝観情報とアクセス

基本情報

住所:〒601-1112 京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
電話:075-741-2016
公式サイト:https://kifunejinja.jp/

参拝時間

本宮開門時間

  • 5月1日〜11月30日:6:00〜20:00
  • 12月1日〜4月30日:6:00〜18:00

授与所:9:00〜17:00(季節により変動あり)

拝観料:無料

アクセス方法

貴船神社は京都市街から北へ約18キロ、山間部に位置しています。

電車+バス(おすすめ)

  1. 京都駅から地下鉄烏丸線で「国際会館駅」へ(約20分)
  2. 国際会館駅から京都バス52系統で「貴船口」へ(約20分)
  3. 貴船口から京都バス33系統で「貴船」へ(約5分)
  4. 貴船バス停から徒歩5分で本宮到着

電車+徒歩

  1. 叡山電鉄「貴船口」駅下車
  2. 徒歩約30分(約2km、上り坂)で本宮到着

所要時間:京都駅から約1時間〜1時間30分

三社の距離

  • 本宮→奥宮:徒歩約15分(700m)
  • 奥宮→結社:徒歩約5分(300m)
  • 結社→本宮:徒歩約3分(200m)

全て歩いて巡る場合、1時間〜1時間30分程度を見込んでください。

周辺の見どころ

鞍馬寺

貴船神社と山を挟んで反対側にある鞍馬寺は、牛若丸(源義経)が修行した地として知られています。貴船神社から鞍馬寺へは、山越えのハイキングコース(約1時間)で結ばれており、自然を楽しみながらの移動も可能です。

川床料理

貴船川沿いには、夏季限定で川床料理を楽しめる料亭が並んでいます。川の上に設けられた床で、清流のせせらぎを聞きながら京料理を味わう贅沢な体験ができます。

営業期間:5月1日〜9月30日頃
予約:事前予約が必須

訪問のコツと注意事項

おすすめの訪問時間

早朝(6:00〜8:00):観光客が少なく、静寂な雰囲気の中で参拝できます。
平日午前中:比較的空いており、ゆっくりと参拝できます。
ライトアップ期間の夜間:幻想的な雰囲気を楽しめますが、混雑します。

服装と持ち物

  • 歩きやすい靴:石段や山道が多いため必須
  • 季節に応じた服装:市街地より気温が低いため、夏でも羽織るものを
  • 虫除けスプレー:夏季は特に必要
  • 懐中電灯:夜間参拝の場合

所要時間

  • 本宮のみ:約30分
  • 三社詣り:約1.5〜2時間
  • 鞍馬寺を含む:半日〜一日

注意事項

  1. 冬季は積雪・凍結の可能性があり、防寒・滑り止め対策が必要
  2. 駐車場は限られており、公共交通機関の利用がおすすめ
  3. 川床料理は完全予約制のため、事前予約を
  4. 奥宮への道は狭く、すれ違いに注意

まとめ

貴船神社は、京都市街の喧騒を離れ、清らかな水と深い森に包まれた神秘的な聖地です。水の神を祀る全国総本宮として、また縁結びの聖地として、1300年以上にわたり人々の信仰を集めてきました。

石段参道に並ぶ灯籠の美しさ、四季折々に変化する自然の風景、神秘的な龍穴の伝説、そして和泉式部の縁結びの物語—貴船神社には、訪れる人々を魅了する多くの要素が詰まっています。

市街地から少し足を延ばす必要がありますが、その価値は十分にあります。境内に一歩入ると、山の空気、水音、鳥の声が重なり、まさに心が浄化されるような感覚を味わえます。

京都を訪れた際は、ぜひ貴船神社まで足を運び、水の神の力が満ちる「気生根」の地で、心身ともにリフレッシュする特別な時間をお過ごしください。


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