観光大国日本・京都へ行こう~Vol.14「知恩院」

コラム

京都「知恩院」完全ガイド – 日本最大級の三門が聳える浄土宗総本山

京都府おすすめ観光スポット紹介シリーズ第14回目は、京都・東山の高台に広がる浄土宗の総本山「知恩院」をお届けします。日本最大級の木造三門、荘厳な御影堂、美しい庭園、そして興味深い「七不思議」伝説など、800年以上の歴史が息づく京都屈指の名刹です。

知恩院とは – 法然上人の教えを今に伝える聖地

知恩院は、浄土宗の開祖・法然上人(ほうねんしょうにん)ゆかりの地に建つ、浄土宗の総本山です。京都・東山の高台に広がる境内は約7万坪という広大な面積を誇り、圧倒的なスケールの建造物が訪れる人々を魅了します。

知恩院という名前は、法然上人が後鳥羽上皇から賜った「華頂山知恩教院大谷寺」という名称に由来しており、「恩を知る」という仏教の教えを表しています。

祇園や八坂神社、円山公園に隣接する立地から、京都観光の定番コースに組み込みやすく、年間を通じて多くの参拝者や観光客で賑わっています。

知恩院の歴史 – 庶民を救った法然上人の革命的な教え

法然上人と浄土宗の誕生

知恩院の歴史は1175年に遡ります。浄土宗の開祖・法然上人(1133-1212年)がこの地に草庵を結び、念仏の教えを広め始めました。

当時の仏教は、貴族や僧侶など一部の特権階級に限られ、一般庶民にとって救いは遠い存在でした。しかし法然上人は「ただ南無阿弥陀仏と唱えれば、誰でも極楽浄土に往生できる」という革新的な教えを説きました。

この「専修念仏」の教えは、身分や教養に関係なく、誰もが仏の救いを得られるという平等思想であり、当時としては画期的なものでした。法然上人の教えは瞬く間に庶民に広がり、多くの人々に希望をもたらしました。

廟所から大寺院へ

1212年に法然上人が80歳で亡くなった後、弟子たちがこの地に廟を建立しました。しかし、法然上人の教えは既存の仏教界から激しい反発を受け、弾圧の時代もありました。

転機が訪れたのは江戸時代です。浄土宗の門徒であった徳川家康、秀忠、家光ら徳川将軍家の篤い帰依を受け、莫大な財政支援により現在見られる壮大な伽藍が造営されました。特に三代将軍家光は、知恩院を徳川家の菩提寺の一つとして重視し、大規模な整備を行いました。

近代から現代へ

明治時代以降も、浄土宗の総本山として日本全国の浄土宗寺院の中心的役割を果たし続けています。現在では、約7,000の末寺を擁する日本最大級の仏教宗派の本山として、その威容を誇っています。

必見スポット完全ガイド

1. 三門(国宝)- 日本最大級の木造寺門

知恩院のシンボルとも言える国宝・三門は、高さ24メートル、幅50メートル、屋根瓦約7万枚という、日本最大級の木造の寺門です。1621年に徳川秀忠によって建立されたこの荘厳な門は、訪れる者を圧倒する迫力と美しさを誇ります。

建築の特徴

五間三戸二重門という形式で、上層には釈迦如来像や十六羅漢像、四天王像などが安置されています。門の楼上は通常非公開ですが、春と秋に特別公開されることがあり、その際には内部を拝観し、京都市街を一望することができます。

圧倒的な存在感

石段の下から見上げる三門の姿は、まさに圧巻です。特に春の桜や秋の紅葉の季節には、三門と自然が織りなす美しい景色を楽しめます。三門をくぐると、そこから先は別世界のような静寂な空間が広がります。

2. 御影堂(国宝)- 法然上人を祀る本堂

境内の中心に位置する国宝・御影堂は、間口45メートル、奥行35メートル、高さ28メートルという巨大な木造建築です。1639年に徳川家光によって再建され、現存する木造建築としては日本有数の規模を誇ります。

内部の荘厳さ

堂内は畳敷きの広大な空間で、中央には法然上人のご尊像が祀られています。内陣の装飾は金箔や漆、彩色で施され、浄土宗の威厳と華やかさを表現しています。

毎日、朝のお勤めが行われており、僧侶たちの読経や念仏の声が堂内に響き渡る様子は、訪れる人々に深い感動を与えます。

注意:2019年から2026年まで大規模な修復工事が行われており、現在は覆いで覆われています。

3. 勢至堂 – 知恩院最古の建造物

勢至堂は知恩院で最も古い建物で、1530年に建立されました。法然上人の幼名「勢至丸(せいしまる)」にちなんで名付けられたこの堂には、勢至菩薩が祀られています。

石段を登った先の高台に位置し、静かな佇まいが印象的です。ここからは京都市街を見渡すことができ、法然上人もこの地で京の都を眺めながら思索にふけったのではないかと想像されます。

4. 大鐘楼と日本最大級の梵鐘

知恩院の梵鐘は、高さ3.3メートル、口径2.8メートル、重量約70トンという日本最大級の大きさを誇ります。1636年に鋳造されたこの鐘は、17世紀から19世紀にかけては世界最大の鐘でもありました。

除夜の鐘

毎年12月31日の除夜の鐘では、17人の僧侶が「えーいひとつ」「そーれ」という掛け声とともに、長さ4メートル以上の撞木(しゅもく)を使って、力を合わせてこの巨大な鐘を撞く姿が見られます。この様子はテレビでも中継され、京都の年末の風物詩となっています。

鐘の音色は低く深く、京都の街に響き渡ります。その荘厳な音は、煩悩を払い、新しい年の平安を願う心を表しています。

5. 美しい庭園

友禅苑(ゆうぜんえん)

三門の横に位置する友禅苑は、昭和29年(1954年)に造られた比較的新しい庭園です。池泉回遊式庭園で、面積は約1,200坪。四季折々の花々や紅葉が楽しめます。

友禅染の始祖・宮崎友禅斎が知恩院付近で活躍したことを偲んで名付けられました。庭園内には茶室もあり、抹茶を楽しむこともできます。

拝観料:300円 開園時間:9:00〜16:00

方丈庭園

御影堂の奥にある方丈庭園は、1641年に僧侶によって設計された伝統的な日本庭園です。白砂と石、苔、樹木が調和した枯山水庭園と池泉庭園が見られ、「京都随一の名書院庭園」として知られています。

大方丈と小方丈に面した庭園はそれぞれ趣が異なり、枯山水の静寂な美しさと、池泉庭園の生命力あふれる美しさの両方を堪能できます。

拝観料:400円(友禅苑とのセット券500円) 開園時間:9:00〜16:00

6. 知恩院の七不思議 – 境内に隠された謎

知恩院には「七不思議」と呼ばれる興味深い伝説があります。これらを探しながら境内を巡るのも、知恩院の楽しみ方の一つです。

1. 鶯張りの廊下(うぐいすばりのろうか) 御影堂から大方丈・小方丈に至る約550メートルの廊下は、歩くと鶯の鳴き声のような音が鳴ります。これは床板と釘が擦れ合うことで生じる音で、侵入者を知らせる防犯装置としての役割も果たしていたと言われています。

2. 忘れ傘(わすれがさ) 御影堂の軒下、約5メートルの高さに残された傘。魔除けや火災除けの意味があるとされています。一説には、建築に携わった名工・左甚五郎が置いていったとも言われています。

3. 白木の棺(びゃくぼくのひつぎ) 三方正面真裏の大屋根裏に安置されているという白木の棺。徳川家康の側室・お亀の方の棺とも言われています。

4. 抜け雀(ぬけすずめ) 狩野信政が大方丈の菊の間に描いた雀の絵が、あまりに見事だったため絵から抜け出してしまったという伝説。

5. 三方正面真裏大廊下の菊の間の杉戸 どこから見ても正面に見えるという不思議な杉戸。

6. 大杓子(おおしゃくし) 長さ2.5メートル、重さ30キロの巨大なしゃもじ。大勢の人々を救うという願いが込められています。

7. 瓜生石(うりゅうせき) 知恩院が建つ前から存在していたという古い石。かつてこの石から瓜が生えたという伝説があります。

季節ごとの魅力

春(3月下旬〜4月上旬)- 桜の名所

境内には多くの桜の木が植えられており、春には淡いピンクの花々が境内を彩ります。特に三門と桜のコントラストは圧巻の美しさで、石段を登りながら見る桜も格別です。

友禅苑や方丈庭園の桜も見事で、日本庭園と桜の調和を楽しめます。

初夏(5月〜6月)- 新緑の季節

新緑が美しく境内を覆い、清々しい雰囲気に包まれます。観光客も比較的少なく、ゆっくりと参拝できる季節です。

秋(11月下旬〜12月上旬)- 紅葉の絶景

境内の木々が鮮やかに色づき、石段を登りながら眺める紅葉は格別です。特に友禅苑や方丈庭園の紅葉は見事で、夜間には特別ライトアップが行われることもあります。

冬(12月〜2月)- 静寂の季節

観光客が少なく、静寂な雰囲気の中で参拝できます。大晦日の除夜の鐘は、知恩院の冬の風物詩です。

拝観情報とアクセス

基本情報

住所:〒605-8686 京都府京都市東山区林下町400 電話:075-531-2111 公式サイト:https://www.chion-in.or.jp/

拝観時間

境内開門:9:00〜16:30(16:00受付終了) 友禅苑・方丈庭園:9:00〜16:00(受付終了15:50)

拝観料

境内:無料 友禅苑:300円 方丈庭園:400円 両庭園セット券:500円 小中学生:各庭園半額

アクセス方法

電車(おすすめ)

  • 地下鉄東西線「東山駅」:下車徒歩約8分
  • 京阪電車「祇園四条駅」:下車徒歩約10分

バス

  • 京都駅から市バス206系統で約20分
  • 「知恩院前」下車すぐ

徒歩

  • 祇園・円山公園から徒歩約5分
  • 八坂神社から徒歩約5分

所要時間

  • 境内のみ:約30〜40分
  • 庭園を含む:約1〜1.5時間
  • じっくり見学:約2時間

周辺の見どころとモデルコース

周辺観光スポット

円山公園(徒歩5分):京都を代表する公園。春の枝垂桜が有名。

八坂神社(徒歩5分):祇園祭で有名な神社。美の神様を祀る美御前社も人気。

祇園(徒歩10分):京都最大の花街。石畳の小路に京町家が並ぶ風情ある地区。

高台寺(徒歩15分):豊臣秀吉の正室ねねが創建した寺院。紅葉ライトアップが有名。

清水寺(徒歩20分):京都を代表する世界遺産。清水の舞台からの絶景。

おすすめモデルコース

半日コース(3〜4時間)

  1. 知恩院参拝・庭園見学(1.5時間)
  2. 円山公園散策(30分)
  3. 八坂神社参拝(30分)
  4. 祇園散策(1時間)

一日コース(東山エリア): 午前:知恩院→円山公園→八坂神社→祇園 午後:高台寺→二年坂・三年坂→清水寺

訪問時のマナーと注意事項

参拝のマナー

  1. 静粛に:現役の修行道場でもあるため、静かに参拝しましょう
  2. 写真撮影:境内での撮影は可能ですが、堂内での撮影は禁止です
  3. 三脚・ドローン禁止:他の参拝者への配慮として禁止されています
  4. 服装:石段が多いため、歩きやすい靴での訪問をおすすめします

特別公開情報

通常非公開の三門楼上などが、春と秋に特別公開されることがあります。事前に公式サイトをチェックすると良いでしょう。

効率的な見学のコツ

  1. 早朝訪問:開門直後は観光客が少なくおすすめ
  2. 石段の覚悟:急な石段を登るため、体力を温存しましょう
  3. 休憩スポット:境内には休憩所もあります
  4. 御朱印:複数の御朱印がいただけます

まとめ

知恩院は、日本最大級の三門、荘厳な御影堂、美しい庭園、そして興味深い七不思議など、見どころが豊富な京都屈指の名刹です。法然上人が説いた「ただ念仏を唱えれば救われる」という平等思想は、800年以上経った今も多くの人々の心の支えとなっています。

徳川将軍家の支援により建立された壮大な伽藍は、江戸時代の建築技術と美意識の粋を集めたものであり、国宝や重要文化財が数多く残されています。

祇園や円山公園、八坂神社からもアクセスしやすく、京都観光の定番コースに組み込みやすいのも魅力です。春の桜、秋の紅葉の時期はもちろん、どの季節に訪れても心に残る体験となるでしょう。

京都を訪れた際には、ぜひ知恩院の壮大な美しさと歴史の深さ、そして法然上人の教えが今も息づく聖地の雰囲気を心ゆくまで体感してください。


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