観光大国日本・京都へ行こう~Vol.13「平安神宮」

コラム

京都「平安神宮」完全ガイド – 平安時代の雅を今に伝える壮麗な朱色の神社

京都府おすすめ観光スポット紹介シリーズ第13回目は、朱塗りの壮麗な社殿と広大な日本庭園で知られる「平安神宮」をお届けします。平安遷都1100年を記念して創建され、京都の歴史と文化、そして平安時代の華やかな雰囲気を今に伝える、京都を代表する観光名所です。

平安神宮とは – 平安京の栄華を後世に伝える神社

平安神宮は、明治28年(1895年)に平安遷都1100年を記念して創建された神社です。平安京を開いた第50代桓武天皇を御祭神として祀り、後に平安京最後の天皇である第121代孝明天皇も合祀されました。平安京の始まりと終わりを象徴する天皇をお祀りする、京都市民の「総社」として親しまれています。

京都市左京区の岡崎エリアに位置し、平安京の正庁である朝堂院を約5分の3のスケールで再現した社殿は、平安時代の雅な文化を体感できる貴重な場所となっています。境内の建造物や広大な神苑は、明治時代の技術と美意識の粋を集めた傑作として高く評価されています。

平安神宮の歴史 – 京都復興の象徴として

明治維新後の京都

1868年の明治維新により、天皇が東京へ移られたことで、京都は千年以上続いた都としての地位を失いました。人口は減少し、経済も衰退し、京都市民の間には不安と失望が広がっていました。

平安遷都1100年祭

1895年、京都復興と市民の士気を高めるため、平安遷都1100年を記念する一大イベントが企画されました。その中心となったのが、平安京を開いた桓武天皇を祀る平安神宮の創建でした。

平安京の正庁である朝堂院を再現した社殿の建設は、「京都は平安時代の華やかな文化の中心地だった」という誇りを取り戻し、未来への希望を示す象徴的なプロジェクトとなりました。

創建と発展

1895年3月15日、平安神宮は盛大な式典とともに創建されました。同時に第1回の「時代祭」も開催され、平安時代から明治維新までの歴史を再現した行列が京都の街を練り歩きました。

その後、1940年には平安京最後の天皇である孝明天皇が合祀され、平安京1100年の歴史を包括する神社としての性格が確立されました。

境内の見どころ完全ガイド

1. 大鳥居 – 京都のランドマーク

平安神宮の参道入口に立つ大鳥居は、高さ約24.4メートル、幅約18メートルという圧倒的なスケールを誇ります。1928年に建立された当時は日本最大の鳥居で、現在も京都を代表するランドマークとして親しまれています。

神宮道の真ん中に堂々と立つ朱色の大鳥居は、遠くからでもその存在感は抜群です。特に夕陽に照らされた姿は美しく、写真撮影の人気スポットとなっています。鳥居の前からは平安神宮の社殿を遠望することができ、その壮大さを実感できます。

2. 應天門(おうてんもん)- 平安京の正門を再現

神宮道を北へ進み、広い白川を渡ると、平安神宮の正面に現れるのが應天門です。高さ約18メートルの壮大な朱塗りの門は、平安京の正門である應天門を約5分の3のスケールで再現したものです。

建築の特徴

二階建ての楼門形式で、碧瓦(あおがわら)の屋根と朱色のコントラストが美しく、平安時代の華やかな宮廷建築の雰囲気を今に伝えています。門の左右には鮮やかな朱色の回廊が延び、境内を囲んでいます。

應天門をくぐると、広大な白砂の境内が広がり、中央に大極殿が見えます。この空間の広がりは、かつての平安京の壮大さを想像させてくれます。

3. 大極殿(だいごくでん)と蒼龍楼・白虎楼

境内の中心に建つ大極殿は、平安時代の朝廷の正庁を再現した重要文化財です。天皇が即位式や国家の重要な儀式を行った場所を模したもので、その荘厳な佇まいは圧巻です。

配置の美学

大極殿を中心に、左右対称に蒼龍楼(東)と白虎楼(西)が配されています。この配置は、中国の風水思想に基づいたもので、東の青龍、西の白虎という四神思想を表現しています。

蒼龍楼と白虎楼はそれぞれ二階建ての優美な建築で、回廊で大極殿と結ばれています。朱色と碧瓦のコントラスト、左右対称の美しさは、平安時代の建築美学の真髄を体現しています。

4. 神苑(しんえん)- 国指定名勝の日本庭園

平安神宮の最大の魅力のひとつが、約3万平方メートル(約1万坪)の広大な池泉回遊式庭園「神苑」です。明治時代を代表する庭師・七代目小川治兵衛が手掛けたこの庭園は、国の名勝に指定されています。

四つのエリア

神苑は東神苑・中神苑・西神苑・南神苑の4つのエリアに分かれ、それぞれ異なる魅力があります。
南神苑:入口すぐの庭園で、平安時代の様式を取り入れた枝垂桜が美しいエリアです。
西神苑:約2,000株の花菖蒲が池を彩る初夏の名所。白虎池を中心とした優雅な庭園です。
中神苑:池を中心とした庭園で、四季折々の花木が楽しめます。
東神苑:最も広いエリアで、栖鳳池を中心に泰平閣が架かる風光明媚な景観が広がります。

四季折々の美しさ

春(3月下旬〜4月上旬):約300本の紅しだれ桜が咲き誇り、水面に映る桜の景色は息をのむ美しさです。「平安神宮 紅しだれコンサート」も開催され、桜と音楽の競演が楽しめます。
初夏(6月上旬〜中旬):西神苑の約2,000株の花菖蒲が池を彩ります。紫、白、黄色の花々が水辺を優雅に彩る光景は、日本の初夏を代表する風景です。
秋(11月中旬〜下旬):紅葉が庭園を赤く染め、日本の秋を堪能できます。特に東神苑の紅葉は見事で、池に映る紅葉が美しいです。
:静寂に包まれた雪化粧の庭園も風情満点。観光客も少なく、ゆっくりと庭園美を堪能できます。
拝観料:大人600円、小中学生300円 拝観時間:8:30〜17:00(季節により変動、最終入苑は閉苑30分前)

5. 泰平閣(たいへいかく)- 池に浮かぶ優美な橋殿

東神苑の栖鳳池に架かる泰平閣は、朱塗りの柱と檜皮葺の屋根を持つ優美な橋殿です。池に映る姿もまた格別で、多くの文豪たちがこの景色に魅了され、作品に描きました。

橋殿の中央からは、池を一望でき、鯉が泳ぐ姿や周囲の景色を楽しむことができます。特に春の桜や秋の紅葉の季節には、絵画のような美しさが広がります。

年間行事 – 京都三大祭「時代祭」

毎年10月22日に開催される時代祭は、平安神宮の創建を記念する祭礼で、祇園祭、葵祭と並ぶ「京都三大祭」のひとつです。

時代祭の見どころ

平安時代から明治維新までの歴史風俗を再現した約2,000名の行列が、京都御所から平安神宮まで約4.5キロメートルを約3時間かけて練り歩きます。

時代行列の構成

明治維新時代:維新勤王隊列、維新志士列など
江戸時代:徳川城使上洛列、江戸時代婦人列など
安土桃山時代:豊公参朝列、織田公上洛列など
室町時代:室町幕府執政列、室町洛中風俗列など
吉野時代:楠公上洛列など
鎌倉時代:城南やぶさめ列など
藤原時代:藤原公卿参朝列など
延暦時代:延暦武官行進列、延暦文官参朝列など

豪華絢爛な衣装と時代考証に基づいた行列は、まさに「動く時代絵巻」として国内外から多くの観光客が訪れます。約1万2千点の衣装や祭具はすべて綿密な時代考証に基づいて製作されており、その文化的価値は極めて高いものです。

開催日:毎年10月22日(雨天順延)
時間:12:00頃 京都御所出発、14:30頃 平安神宮到着

拝観情報とアクセス

基本情報

住所:〒606-8341 京都府京都市左京区岡崎西天王町97
電話:075-761-0221
公式サイト:https://www.heianjingu.or.jp/

拝観時間

境内

  • 3月1日〜3月14日、10月:6:00〜17:30
  • 3月15日〜9月:6:00〜18:00
  • 11月〜2月:6:00〜17:00

神苑

  • 8:30〜17:00(最終入苑16:30)
  • 季節により変動あり

拝観料

境内:無料
神苑:大人600円、小中学生300円

アクセス方法

電車(おすすめ)

  • 地下鉄東西線「東山駅」:下車徒歩約10分
  • 京阪電車「神宮丸太町駅」:下車徒歩約15分
  • 京阪電車「三条駅」:下車徒歩約15分

バス

  • 京都駅から市バス5系統または洛バス100・110系統
  • 「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車、徒歩約3分
  • 所要時間:約30分、料金230円

タクシー

  • 京都駅から約15分、約1,500〜2,000円

駐車場

参拝者用駐車場あり(有料)

周辺の見どころとモデルコース

岡崎エリアの文化施設

平安神宮が位置する岡崎エリアは、京都の文化芸術の中心地です。

京都市京セラ美術館(徒歩5分):1933年開館の日本最古の公立美術館。リニューアルされた美しい建築も見どころ。
京都国立近代美術館(徒歩3分):日本の近代美術を中心に展示。
京都市動物園(徒歩5分):1903年開園の日本で2番目に古い動物園。
ロームシアター京都(徒歩5分):コンサートや演劇が楽しめる文化施設。

周辺の寺社

南禅寺(徒歩15分):日本禅宗の最高峰。水路閣と枯山水庭園が有名。
哲学の道(徒歩15分):銀閣寺まで続く約2キロの桜並木の散歩道。
永観堂(徒歩20分):「もみじの永観堂」として知られる紅葉の名所。

おすすめモデルコース

半日コース(3〜4時間)

  1. 平安神宮参拝・神苑見学(1.5時間)
  2. 京都市京セラ美術館(1時間)
  3. 岡崎エリアでランチ
  4. 南禅寺参拝(1時間)

一日コース: 午前:平安神宮→南禅寺→永観堂 午後:哲学の道散策→銀閣寺

訪問のポイントとマナー

おすすめの訪問時期

春(3月下旬〜4月上旬):紅しだれ桜が見頃。夜間には「平安神宮 紅しだれコンサート」も開催され、桜と音楽の幻想的な競演が楽しめます。
初夏(6月上旬〜中旬):花菖蒲が美しく咲き誇り、初夏の京都を代表する風景を楽しめます。
秋(10月22日):時代祭の日。京都の歴史絵巻を体験できる特別な日です。
秋(11月中旬〜下旬):紅葉の美しい季節。神苑の紅葉は格別です。

所要時間の目安

  • 境内のみの参拝:約30分
  • 神苑を含めた見学:約1〜1.5時間
  • 時代祭見学を含む:半日

服装と持ち物

  • 歩きやすい靴:神苑内は広く、散策に時間がかかります
  • 日傘・帽子:夏は日差しが強いです
  • 防寒対策:冬は冷え込みます
  • カメラ:朱色の社殿や四季の庭園は撮影スポット満載

参拝のマナー

  1. 鳥居をくぐる際は一礼
  2. 手水舎で手と口を清める
  3. 写真撮影は他の参拝者への配慮を
  4. 神苑内での飲食は禁止
  5. 静かに参拝を

まとめ

平安神宮は、京都の歴史と文化を体感できる格別な場所です。壮大な朱色の社殿は平安時代の雅な雰囲気を今に伝え、四季折々の表情を見せる国指定名勝の神苑は訪れる人々を魅了し続けています。

明治時代に創建された比較的新しい神社でありながら、平安京1100年の歴史を象徴する存在として、京都市民に深く愛されています。特に春の紅しだれ桜や初夏の花菖蒲のシーズンは、日本庭園の美を堪能できる絶好の機会です。

京都駅からのアクセスも良好で、周辺には美術館や動物園などの文化施設も充実しているため、一日かけてゆっくりと岡崎エリアを満喫することができます。

古都京都の魅力が凝縮された平安神宮で、平安時代の雅な文化と日本庭園の美しさを心ゆくまで体験してください。千年の都の繁栄と美しさが、きっと忘れられない思い出となることでしょう。


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