観光大国日本・奈良へ行こう~Vol.27「當麻寺」

コラム

中将姫伝説と國寶の双塔─奈良・當麻寺で千年の歴史に触れる

今回は、奈良県葛城市に位置する、歴史と信仰の聖地「當麻寺(たいまでら)」をご紹介します。荷物を預けて、身軽に静寂と荘厳の世界へ足を踏み入れてみませんか?

■ 當麻寺とは?──奈良時代から続く信仰の地

當麻寺は推古天皇20年(612年)、聖徳太子の弟・麻呂子親王によって創建されたと伝えられています。その後、當麻氏の氏寺として発展し、奈良時代から続く長い歴史を今に伝えています。なかでも特筆すべきは、奈良時代に建てられた「東西二基の三重塔」と、織物でできた仏画「當麻曼陀羅」を本尊とする曼陀羅堂です。

■ 中将姫と當麻曼陀羅──伝説と信仰の物語

當麻寺を語る上で欠かせないのが、中将姫(ちゅうじょうひめ)伝説です。

藤原鎌足の曾孫として生まれた中将姫は、数奇な運命を経て當麻寺で出家。ある夜、阿弥陀如来の化身とされる老尼の導きにより、極楽浄土を描いた「當麻曼陀羅」を一晩で織り上げたと伝えられています。この曼陀羅は、浄土信仰の象徴であり、彼女が往生した29歳の臨終の姿は、現在も毎年4月14日の「練供養」で再現されています。

■ 主な見どころ

1. 國寶・東塔と西塔(奈良時代)

當麻寺の象徴といえば、東西に立ち並ぶ2基の三重塔。どちらも国宝に指定されており、奈良時代建築の最高峰とされる貴重な遺構です。現存する雙塔(そうとう)形式の寺院は極めて稀少で、當麻寺ならではの景観を構成しています。

2. 曼陀羅堂(本堂)

堂内には、中将姫が織り上げたとされる「當麻曼陀羅」の写本(文亀本)を安置。現在は原本(古曼陀羅)は非公開ですが、重要文化財に指定された室町時代の写本を鑑賞できます。曼陀羅堂そのものも国宝に指定された由緒ある建築です。

3. 金堂と講堂

  • 金堂:當麻寺の創建当時の本堂。中には国宝の「弥勒仏座像」や、四天王立像(重要文化財)を安置。
  • 講堂:鎌倉時代再建の建物で、阿弥陀如来坐像を中心に、数々の仏像が祀られています。

4. 東大門(仁王門)と梵鐘

當麻寺の正面を飾る「東大門(仁王門)」は、荘厳な山門。門をくぐると境内に静けさが広がります。近くの鐘楼には、日本最古の梵鐘のひとつが掛けられています。

5. 奥院と庭園

當麻寺の西側には「奥院」があり、宝物館では當麻曼陀羅の写本や来迎図などを展示。さらに、浄土庭園や二河白道の庭など、心癒される日本庭園も見どころです。

■ 拝観情報と体験

● 拝観時間

9:00~17:00(最終受付:16:30)

● 拝観料

拝観エリア大人小学生
中之坊(庭園・書院等)500円250円
伽藍三堂(曼荼羅堂・金堂・講堂)1000円500円

※特別公開期間や行事によって料金変更あり

● 体験プログラム

  • お抹茶体験:500円(書院にて)
  • 写仏:1500円(初心者歓迎)
  • 写経:1500円(心を落ち着ける時間に)

■ アクセス案内

電車をご利用の方

  • 近鉄南大阪線「当麻寺駅」より徒歩15分
  • JR和歌山線「高田駅」よりタクシー約15分
  • 近鉄大阪線「大和高田駅」よりタクシー約15分

※近鉄南大阪線利用時は車両分割に注意(当麻寺行きに乗車)

車をご利用の方

  • 西名阪道「柏原IC」「香芝IC」または南阪奈道「葛城IC」から約20〜30分
  • 無料駐車場あり(38台)

■ 季節ごとの楽しみ方

🌸 春:ぼたんの季節(4月中旬〜5月)

「當麻の里ぼたん祭り」が開催。牡丹が境内を彩ります。

🍃 夏:當麻そうめん

地元特産の「當麻そうめん」で涼を楽しむグルメ旅に。

🍁 秋:紅葉と曼陀羅公開(11月)

「綴織當麻曼陀羅」が特別公開される貴重な期間。紅葉とともに鑑賞を。

■ まとめ:信仰、芸術、そして癒しが同居する當麻寺

當麻寺は、ただの古刹ではありません。

  • 日本最古の織物曼陀羅
  • 奈良時代の建築様式
  • 美しい庭園と四季の花々
  • 写経・写仏体験で心を整える時間

これらすべてが、訪れる人の心を静かに満たす特別な体験となることでしょう。

当店【TRAVELBAG】で荷物を預け、身軽に訪れてみてください。忙しない日常を離れ、1400年の時が流れる當麻寺で、心豊かな時間をお過ごしください。

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