日本最古の仏教寺院「飛鳥寺」- 1400年の歴史を刻む聖地
飛鳥寺の概要
飛鳥寺(あすかでら)は、奈良県高市郡明日香村に位置する日本最古の本格的な仏教寺院です。鳥形山(とりがたやま)を山号とし、真言宗豊山派に属しています。596年(推古天皇4年)に蘇我馬子の発願により建立され、当時は「法興寺」または「元興寺」とも呼ばれていました。日本の仏教史における最も重要な寺院の一つとして、国内外の観光客から高い関心を集めています。
歴史的背景
飛鳥寺の創建は、日本に仏教が公式に伝来した時代と深く関わっています。588年に百済から仏舎利(釈迦の遺骨)が献じられたことをきっかけに、豪族・蘇我馬子が寺院建立を発願しました。仏教導入に反対していた物部守屋との戦いに勝利した後、蘇我氏は飛鳥の真神原(まかみのはら)の地に寺院を建立しました。
創建当時の寺院は、現在の約20倍もの広大な敷地を誇り、塔を中心に東・西・北の3つの金堂を配し、外側には回廊が巡らされた壮大な伽藍配置でした。朝鮮半島から招かれた技術者たちによって、日本で初めて本格的な瓦が製造され、仏堂や塔の建設に用いられました。
平城京遷都(710年)に伴い、寺の機能の多くは平城京内に移転しましたが、飛鳥の地には寺院が残り続けました。鎌倉時代には伽藍の大半を焼失し、現在の本堂は江戸時代の再建によるものです。

見どころ
1. 飛鳥大仏(本尊)
飛鳥寺の最大の見どころは、「飛鳥大仏」の通称で親しまれる本尊の銅造釈迦如来坐像です。高さ2.75メートルのこの仏像は、日本最古級の金銅仏として知られ、重要文化財に指定されています。
飛鳥大仏の特徴:
- 面長でアーモンド形の大きな目
- 口元に浮かぶほのかな微笑み(アルカイックスマイル)
- 右手は施無畏印、左手は与願印を結ぶ姿勢
- 通肩に納衣を着け、胸部がV字に開いた独特の装い
撮影可能な珍しい仏像として、写真に収めることができるのも魅力的です。
2. 伽藍跡
境内には創建当時の塔や金堂の礎石が残されており、かつての壮大な伽藍の様子を偲ぶことができます。これらの遺構から、日本最初の本格的な寺院建築の様子を学ぶことができます。
3. 四十九院
本尊を安置する本堂の裏手には「四十九院(しじゅうくいん)」と呼ばれる建物があり、法要などに使用されています。
4. 蘇我入鹿首塚
境内には、大化の改新で暗殺された蘇我入鹿の首を埋めたとされる「蘇我入鹿首塚」があります。日本の政治史における重要な転換点を象徴する史跡として注目されています。

訪問情報
アクセス方法
電車とバスでのアクセス:
- 近鉄「橿原神宮前駅」東口から明日香周遊バスに乗車、「飛鳥大仏前」下車ですぐ
- 近鉄「飛鳥駅」からも明日香周遊バスで「飛鳥大仏前」下車
車でのアクセス:
- 南阪奈道路葛城ICから国道165・169号経由で約30分
- 駐車場あり(20台):普通車500円、バス中型2000円、バス大型3000円
拝観情報
拝観時間:
- 4月1日~9月30日:9:00~17:30(受付は17:15まで)
- 10月1日~3月31日:9:00~17:00(受付は16:45まで)
休業日:
- 4月7日~9日
拝観料:
- 個人:大人・大学生 500円、高校生・中学生 300円、小学生 250円
- 団体(30名以上):大人・大学生 450円、高校生・中学生 250円、小学生 200円
見学所要時間:約30分

周辺観光スポット
飛鳥寺を訪れる際には、明日香村の他の歴史スポットもあわせて巡ることをおすすめします:
- 石舞台古墳 – 巨大な石室が露出した古墳
- 高松塚古墳 – 壁画で有名な古墳
- 橘寺 – 聖徳太子ゆかりの寺院
- 飛鳥資料館 – 飛鳥時代の出土品や復元模型を展示
外国人観光客向け情報
飛鳥寺は外国人観光客にも人気のスポットです。一部の案内板には英語表記があり、英語のパンフレットも用意されています。また、明日香村周辺では外国語対応可能なガイドツアーも運営されています。
近鉄の定期観光バスでは、英語、中国語(簡体字、繁体字)対応のルートマップが配布されており、外国語音声ガイドのポイントも記載されています。

訪問のヒント
- レンタサイクルを利用すれば、飛鳥寺と周辺の観光スポットを効率良く回ることができます。
- 明日香村のサイクリングツアーに参加すれば、飛鳥時代の歴史を体感しながら景観を楽しめます。
- 奈良県明日香村は日本の歴史の発祥地とも言われる地域なので、日本文化の深い理解につながります。
- 写真愛好家には、朝や夕方の柔らかい光の中での撮影がおすすめです。
まとめ:仏教伝来と国家の始まりを体感する場所
飛鳥寺は、日本における仏教文化の夜明けを告げた寺院です。大仏に込められた祈り、礎石が語る過去の栄光、そして蘇我氏のドラマ──そのすべてがこの小さな境内に凝縮されています。歴史の教科書が息づくリアルな舞台を、自分の足で感じてみてください。
奈良市内から少し足を伸ばしてでも訪れる価値がある飛鳥寺。ぜひ、【TRAVELBAG】で荷物を預けて、心も身軽に“日本の原点”を訪ねてみませんか?